訪問診療とは
みなさん、こんばんは。
訪問診療と聞くとどのようなイメージをもつでしょうか。
私が訪問診療に初めて出会ったのは医師になって2年目、研修医の頃に徳之島という南の島で地域医療の研修をしているときでした。
当時は白衣で人の家に入るということ自体、なんだか違和感を感じており、正直将来自分が在宅診療に関わることになるとはまったく思っていませんでした。
たまねぎ通信にも書かせていただきましたが、私が医師を志したのは母の病気を治したいというところからで、「元気になる姿を目指す医療」とは異なる「自宅での医療」にとまどったのかもしれません。
その後、本気で病気を治す、病気に向き合う中で、現代の医療ではどうしても救えないこともあると思い知らされました。
80%の方が治る病気があるとして、すごく治る可能性の高い病気のように感じますが、逆に言うと20%の方は治らないわけです。
診療をする中で、その20%の方々に徐々に目が行くようになり、ふと在宅医療に立ち返る日が来ました。
在宅医療というと、「死」というイメージが連想されるように思いますが、在宅医療の世界に飛び込み実際に診療にあたってみると、それだけではない、より多くの可能性を感じました。
多くの方がイメージするだろう、在宅での「看取り」というのはがん診療を行う中で、選択肢として常に挙がり検討されるべきものだと思います。
また、年齢を重ね、いろいろな理由で通院が難しくなった方への訪問診療というのもわりとイメージが沸くのではないでしょうか。
さらに、「元気になる姿を目指す医療」としても在宅医療は貢献できるのではないかと考えています。
大きな手術や移植医療などを受けたあと、リハビリのために別の病院へ転院してそこから家に帰ることを目指すことがままありますが、在宅医療では理学療法士などの介入も可能であり、早期退院、早期社会復帰に役立てるのではないでしょうか。
私は造血幹細胞移植(骨髄移植など)に携わってきましたが、早期退院ができることはご本人にとっても利益の大きいことだと思いますし、また病院のベッドが空くことで移植を待つ次の患者さんが入院できる、つまりより多くの方が移植医療の恩恵を受けられるチャンスが得られることにもつながります。
在宅医療は病気にも向き合いますが、病院とは違い生活に入り込む部分がより大きく、人に向き合うという要素が強い医療です。
当院が訪問診療で関わる際には、ぜひ、やりたいこと、ご自身が大事にすること、など教えてください。
徳之島の写真です。
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